Tokyo, 1977.
Hey, Marcus here. 今や世界中で「City Pop」という言葉を聞かない日はないけれど、その核心にある一枚を挙げろと言われたら、僕は迷わず大貫妙子さんのアルバム『SUNSHOWER』、そしてこの「都会」を選ぶね。
この曲が鳴り出した瞬間、湿り気を帯びた東京の空気が、どこか乾いたニューヨークのストリートのように塗り替えられる。2026年の今、この音がなぜこれほどまでに僕たちの心を捉えて離さないのか、その理由を探ってみよう。
坂本龍一が描いた、完璧な「引き算」の美学
この曲の最大の魅力は、当時弱冠25歳だった坂本龍一さんによる緻密なアレンジにある。
細野晴臣さんのうねるようなベースラインに、クリス・パーカーのタイトなドラム。そこに絡み合うホーンセクションは、過剰に飾ることなく、都会の孤独と熱量を同時に描き出しているんだ。
大貫妙子さんのボーカルも、感情を爆発させるのではなく、淡々と、しかし確かな体温を持って言葉を紡いでいく。この「温度の低さ」こそが、都会という迷宮を生きる僕たちにとって、最高の癒やしになるんだと思う。
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Marcus’s Audio Insight
「プロデューサーの視点で見ても、この曲のミックスバランスは奇跡的だよ。
特に後半に向かって重なり合うコーラスワーク(山下達郎さんも参加しているんだ!)の奥行き。
当時のアナログレコーディングならではの『空気の震え』が、デジタル配信された今でもしっかりと刻まれている。
SBRのスタジオでも、この質感を目指して機材を調整することがよくあるんだ。」
Chloe’s Vibe Note
「ニューヨークの夜、窓の外を流れる車のライトを眺めながらこの曲を聴くのが大好きなの。
1977年の東京で生まれた音が、2026年のNYCにも完璧に馴染む。
『都会』という場所が持つ共通の切なさと輝きを、大貫妙子さんの声は優しく包み込んでくれるわ。」
時代を超えて共鳴する「パルス」
「誰の為に生きているのか わからなくなる時がある」
という歌詞は、現代を生きる僕たちにとっても、かつてないほどリアルに響く。
SBRがCity Popをアーカイブするのは、それが単なるブームだからじゃない。そこに、時代が変わっても決して変わらない「都市の真実」が刻まれているからだ。
— Marcus
🎙️ SBR Radio | City Pop Archives Vol.03
ナビゲーター:マーカス & クロエ
「都会」の旋律に隠された1977年のパルスを紐解く、約5分のオーディオ・ドキュメンタリー。
大貫妙子 ライブラリー
EMIミュージック・ジャパン
“ライブラリー”――さりげないけど、なんて良いタイトル、そして大貫妙子らしいタイトルだろう。その穏やかな手触りは、好きな本や絵と向かいあっている時の心地よさに近い。このアルバムは、シュガー・ベイブ時代の「いつも通り」(76年)から映画『キリクと魔女』のイメージ・ソング「裸のキリク」(2003年)までにいたる全キャリアから選曲されたアンソロジー・ベスト盤で、彼女自身による丁寧な楽曲解説も付いている。